2014-12-31

2014年に読んだ本

参考:2013年に読んだ本

今年はだいぶ仕事が忙しくて、ブログを書く時間も減ったし、本を読む時間もあまりなかった。読みかけの本がたくさんあるので、まずはそこら辺を終わらせるところから2015年はスタート…みたいなことを1年前も言っていた気がする。

  1. 舟を編む:年始に実家で読んだ。これを皮切りに、三浦しをんを数冊読んだ。ほのぼのとした話がほのぼのとした筆致で書かれた作品。
  2. 会社を変える分析の力:大阪ガスのデータサイエンス部隊を率いる河本薫さんの本。ビッグデータだとかそういう話がここ数年流行っているが、多くの企業に一番足りないのは、「データ分析をしたらビジネスがどうよくなるのか、」というイメージを、経営者たちがイマイチ掴めていないこと、また、分析者たちが、経営者たちに自分たちの価値を上手く伝えられていないことだ。そこら辺の話をうまく整理してくれる秀逸な本。
  3. 月魚:やばい、三浦しをんだということ以外、見事に何も覚えていない。
  4. 君はポラリス:三浦しをんの短編集。経験したことはないけれど、妄想したことはあるような話を書かせたら、三浦しをんは天才である。
  5. まほろ市多田便利軒:ドラマにもなった三浦しをんの小説。なんか町田っぽいなあと思って読んでいたら、実際町田市がベースになっているらしい。なかなか面白かった。
  6. The Hologram for the King:いわゆる中年の危機にある、ITコンサルタントのオッサンの話。悲哀に満ち過ぎててあんまり好きになれんかった。Eggersは、テーマ性を重視するがあまり、話がもっさりする傾向がある気がする。
  7. ことばとマーケティング:多角的な手法で、癒しブームを分析した本。一気に読んだんだが、あんまり何も覚えていない。内容はよかった気がする。
  8. Data Smart:Mailchimpのデータサイエンティスト、John Foremanが書いた、データ分析の手法のサーベイ本。敢えてPythonだのRだの使わず、Excelで全ての分析をすることで、道具ではなく、手法を深く理解することを目指した良書。非常におススメである。
  9. The Atlas:ノーベル賞候補としていつも名前があがるアメリカの小説家・ジャーナリスト、William Vollmannの短編集。この人はマジ破天荒で、娼婦を「インタビュー」するために風俗に行きまくったり、児童買春の犠牲者の女の子の命を助けようとして、自らがポン引きに殺されそうになったり、オカマの主人公の小説を書くために、自ら女装してみたりと、よりリアルなストーリーを紡ぎだすためなら、何でもやる鬼才である。
  10. Poor People:そのVollmannが、世界中の貧困者と時間を過ごし、「自分は貧乏だと思うか。だとしたら、なぜ貧乏なのか。」と問いかけたノンフィクション。日本人のホームレスも出てくる。国や地域によって、貧富に対する価値観や、それに対する姿勢の違いがここまであるのかと、当たり前ながら大事なことを再認識させてくれる本。
  11. The Remains of the Day:日系イギリス人作家、カズオ・イシグロの代表作。Amazonの創業者Jeff Bezosがもっとも大好きな小説だということで、前から読みたいと思っていた。Bezosはこの本を、「たったの10時間、主人公の人生を覗くことで、人生と後悔について教えてくれる本だ」と評していたが(Bezosは後悔最小化フレームワークの提唱者である)、自分の感想は、社畜ライフの最大の悲哀は、社畜であるという自意識の欠乏だということ。今年読んだ小説では、圧倒的に印象に残った。
  12. How Not to Be Wrong:アメリカの数学者Jordan Ellenbergが書いた新書。「間違えない方法」という大分釣りにいっているタイトルではあるが、それに見合うだけの内容である。作家でもあるEllenbergは、文章も上手いし、数学者ならではの、論理的明晰性が随所にみられる。数学的なテーマ(選択バイアス・期待値・対称性など)を、実際にあった挿話と共に紹介する内容で、「数学って一体なんの役に立つの」と思う人、あるいはそう聞かれて困っている人は、是非この本を手にとってもらいたい。
  13. 統計的手法のしくみ:統計学ほど初学者にとってわかりづらい分野も珍しいと思う。この本は、基本的な統計学のコンセプトを、わかりやすく説明してくれる良書。テーマごとに纏まっているので、読みやすい。
  14. Homage to Catalonia:高校の時に読まされた"Animal Farm"、"1984"ぶりのOrwell本。スペイン独立戦争で戦線に立ったOrwellが、彼ならではの精緻な文章で、戦争の現実を描いた良作。20世紀最高のノンフィクションと評されるのもわかる。「カタロニア讃歌」という題名で邦訳されている。
  15. Statistics - A Very Short Introduction:イギリスの統計学者David J. Handのよる統計学のVery Short Introductionシリーズ本。Hand教授の名前は"Classification Technology and the Illusion of Progress"で知っていたので、母校の本屋で見かけた時に買った。統計学の当たり前な話が書いてあるのだが、非常にわかりやすく仕上がっている。
  16. A Supposedly Fun Thing I'll Never Do Again:DFWの有名なエッセイ。3年くらい前に読んだんだが、帰省中の機内で再読した。内容を忘れていたというよりは、おそらく3年前に読んだ時には全く気づいてなかったことが多々あった。カリブ海のクルーズに7日間行っただけで、資本主義の悲哀から、アメリカ人のアイデンティティなど、普遍的なテーマを数百ページにわたって綴れるDFWは、やはり天才である。毎年年末には再読しようと思った。リンク先のエッセイ集には、他の作品も入っている。

こう見ると、ほんとに今年は本を読まなかったな。2015年はもっと読むようにしたいです、はい。

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