2011-09-24

1984 in 2011

まだベータ版のFacebook Timelineだが、裏技を使えば、試運転することができる。ぼくも実際試したのだが、一つ気にかかったことがある。Timelineと従来のFacebookには一つ決定的な差があるのだ。

Timelineでは自分の年表のあらゆる時点に自由にコンテンツを足せる

ということだ。Timelineの軸の上にカーソルを合わせてクリックするとStatusや写真を追加できるようになっている。そんなの自分の年表なんだから当たり前だと思うかもしれない。でも実はこの「機能」は、今までどうしてもFacebookが解決できなかった問題を鮮やかに解いてみせたのだ。それは...

Facebook起源前のユーザーのデータを集めること

8億人ものユーザーがいるFacebookだが、なんといってもまだ若い。7歳だ。一般に公開されたのが2006年9月26日だから、大体のユーザーは5年以下しか使っていない。ということはFacebookが保持しているユーザーのデータは多くて5年分ずつくらいなのだ。

ところで皆さんはFacebookユーザーの平均年齢をご存知だろうか。データ収集や解析の方法によって数にばらつきはあるが、30代というのが大方の予想だ。すると平均をとった時に、Facebookはユーザーの人生の5/30=1/6程度のデータしかないことになる。今までのFacebookには過去のできごとを足す機能がなかったため、生年月日くらいしかFacebook以前のデータはなかったのだ。

そこでTimelineの登場だ。人生のスクラップブックを作るため、ユーザーはこれからどんどんTimelineにコンテンツを足していくに違いない。今起こっていること、昨日起こったこと、そして何年も前に起きたこと。この最後の「何年も前に起こったこと」をユーザー自らの手でFacebookのデータバンクにアップロードさせることこそが、今回のTimelineの真の狙いなのではないだろうか。

もし大多数のユーザーがFacebookの思惑通りにTimelineを使っていけば、文字通り"Facebook knows everything about you"となる日はさほど遠くない。それが良いか悪いかはどうかは、ぼくにはまだわからない。けれど、Timelineの時間軸をクリックした時にパッと現れたメニューボックスの中に、Facebookのオーウェリアンな意図を読み取ったことは記憶しておきたい。

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