quipped

Creative Commons License

友達 たくさん つくれ

1999年11月、中学校を退学して渡米するぼくのために、当時の担任の先生が、クラスメート全員から寄せ書きを募ってくれた。30センチ四方の色紙の真ん中に「飛翔」と書かれており、それを囲むようにクラスメート42人が縦書きでコメントを寄せてくれた。14歳のぼくは心底感動し、渡米まもなくの頃は、しょっちゅうその寄せ書きを眺め、右も左もわからない英語圏での生活と戦う心の糧にしていた。

それでも人間なんて勝手なもので、徐々にアメリカでの生活に慣れ、次第に色紙を眺めることも少なくなった。正直、誰が何を書いてくれたかも殆ど覚えていない。が、一つだけ鮮明に覚えているコメントがある。それが、M君が書いてくれた

友達 たくさん つくれ

だ。中央に書かれた「飛翔」という言葉もそうだが、寄せ書きの多くは「アメリカに行ってもがんばれー」といった僕を勇気づけるものだった。もちろんそれはそれでありがたかったのだが、そんな中でM君のコメントは、より具体的で、普遍的で、実践的だった。

友達をつくるのはそうカンタンなことではない。ましてや、言葉もろくに通じない国で友達をつくるとなれば、さらに難しい。が、大人になってきてひしひしと思うのは、友達を含めた人間関係は、大切にしていればそれは強い精神的な鎧となる。人間だから、そりの合わない人もいるし、予期せずして災難にみまわれることもある。そんな時に、躊躇せず電話をしたり、メールをしたりできる人たちが周りにいるかどうかは、生と死をわけるといっても過言ではない。

日本では、いじめを苦に自殺した中学生の話が波紋を呼んでいるようだ。そして、それに対する強者としてのアドバイスもあれば弱者の立場に立った代弁者もいる。鶏と卵だと突っ込まれるのを承知で言うと、イジメに打ち勝つひとつの方法は、友達をたくさん作ることだ。それも、小学校とか職場とかといった枠を超えたところで。そうすることで、例えば学校や職場で問題を抱えたとしても、別の場所での友達—習い事の友達や飲み仲間—と悩みを共有することで、人間は前に進めるようになる。

友達関係の冗長化とでもいうのだろうか。いわゆるクラウドサービスで、地理的に分散したかたちでサービスを提供したりしているが、人間関係という「システム」でも、障害というのは起きるわけで、その時には、より幅広いネットワークの方が、大打撃を回避できる気がする。

2012-07-08