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2017年に読んだ本

参考:2016年に読んだ本

ブログ完全休眠、ついに2年連続となってしまった。ハンターハンターを凌駕するアウトプットの無さである。おそらく2018年にはブログを再開できると信じている。読書の方もおろそかになりがちだったが、それなりに纏まった長さの本を読了できたので、一先ず満足である。

  1. "Lolita" by Vladimir Nabokov:読もう読もうと思いつつも10年位読むチャンスがなかったのが、NabokovのLolitaである。ロシア人のNabokovは完璧なトライリンガルで、Lolitaも英語で最初書かれており、英語文学の金字塔とされている。ということで2016年12月にふらっと立ち寄ったニューヨークの本屋で買い、2017年あたまに読み終えたのだが、解説付きバージョンを買って正解だった。英語が難しいのはまあ良いとして、至るところにフランス語が出没、かつ仏語の部分がプロットに関わってきたりするので、これをすらっと読める人は英仏のバイリンガルの知識人に違いない。話そのものは「ふーん」という感じであったが、まあ文章は上手である。
  2. 走ることについて語るときに僕の語ること:村上春樹のノンフィクション。Lolitaが重かったので、さくっと読めるものが欲しくなり手にとった。村上春樹のナルシズムは、彼の文章と同様、さらっと受け入れられるけど、あまり印象に残らない。走るのが好きだということは伝わった。
  3. 本日はお日柄もよく:原田マハの小説。何気に原田マハデビューであった。飯田橋の本屋で買った。コピーライターの話。知り合いで広告関係者も多いので、何となくイメージが掴め面白かった。それなりの数の披露宴には出席しているはずだが、一度も「本日はお日柄もよく」というくだりを聞いたことがなかったので、日本語の勉強にもなった。
  4. 変身:"Lolita"同様、実はDie Verwandlungも読んだことがなかったので読んだ。といってもドイツ語はわからないので、英語で読んだ。ドイツ語ネイティブ曰く、カフカはドイツ語で読んでこそ、その醍醐味がわかるらしい。というのもドイツ語というのは、文末の単語一つで意味が大きく変わるらしく、その文法を巧みに使ったのがカフカだそうだ。当然このトリックは英語では中々再現できない。はて、日本語だとどうだろうか。ちなみに表題作の「変身」よりも、「流刑地にて」の方が個人的には面白かった。閉塞感と空虚感を行間に詰め込ませたら、カフカの右に出るものはいない。
  5. 爪と目:サンフランシスコで急に日本語が読みたくなって買った、藤野可織の芥川賞小説。二人称で書かれたホラーチックな短編。
  6. 風の歌を聴け:村上春樹のデビュー作。なんか「今すぐ本を読み出してかつ読了したい」衝動に駆られて読んだ気がする。荒削りではあるが、すでにハルキズム満載である。良くも悪くも変わらないスタイルが、ノーベル賞を遠ざけているのかもしれない。
  7. Enterprise Architecture As Strategy:仕事で読んだ。マイクロサービスとかそういう話の流れで、知り合いから「この本読むといかに歴史が繰り返すか分かるぜ」的なことを言われ読んだ。90年代のエンプラ基盤プロジェクトのケーススタディが元となっているのだが、25年経った今でも大企業が同じ問題を抱え続けているところが面白い。ITの本質的な問題は技術ではなく組織だと再認識させてくれる良書。
  8. Grand Hotel Abyss:フランクフルト学派そのものの伝記。ベンヤミン、アドルノ、ハバーマスらの半生を、共産主義・ファシズム・冷戦という20世紀の激動の中で描く。体系的にフランクフルト学派について学びたかったので丁度よかった。
  9. Notes from Underground:DFWのエッセーで言及されていたので原作を読んだパターン。が、正直何が言いたいのかわからない本であった。昔からロシア文学とはあまり相性がよくない気がする。
  10. The Iliad:いわゆる「インテリ面して古典を読んでなかった」パターンである。本自体は実は2009年から持っていたのだが、今年ようやく重い腰をあげて読んだ。さすが西洋最古のストーリーというだけあって重厚なストーリーである。これを口承で伝えられるところに人間のロマンを感じる。とにかくいとも簡単に人が死ぬので、元祖バトルロワイヤルである。
  11. The Name of the Rose:初Eco。図書館で借りて読んだので、二重の意味でエコである。哲学とミステリーの塩梅が絶妙。中世ヨーロッパ史は疎いので、勉強になった。
  12. How Will You Measure Your Life?:Audible.comで初めてオーディオブックというものを聴いてみた。イノベーションのジレンマで知られるChristensenと、彼の生徒DilionとAllworthによって書かれた自助本。要約すると「人生の目的関数は『幸せ』であるべきだ」ということ。AllworthはExponentというpodcastのco-hostで、この本の存在もそれを通じて知った。StratecheryのBen ThompsonとJames Allworthがテクノロジー業界をビジネスと戦略目線で分析するExponentは、ビジネス英語を学びたい上級者向けにはオススメである。Thompsonの素朴な中西部英語と、Allworthの典型的なオーストラリア英語の掛け合いが絶妙。
  13. The Birth of a Theorem:フランスの数学者Cédric Villaniの回顧録。フィールズ賞受賞のきっかけにもなった定理を、弟子と共に解明していくプロセスが日記体で書かれている。フィールズ賞の受賞要因となるような定理なので、勿論その証明の内容そのものはわからないのだが、数学者が実際どう働くのかというプロセスのイメージが湧く本である。Villaniは受賞後有名人となり、去年のMacronフィーバーに乗って出馬・当選もしている。TED Talkもしたりと、なかなか多才な人だ。
  14. The Years of Lyndon Johnson: Path to Power:去年のThe Power Brokerで懲りず、またまたCaro本を読み始めた。The Power Brokerが「市政の権力」を紐解いた本ならば、The Years of Lyndon Johnsonは「国政の権力」を紐解いている本だろう。現在進行系なのは、このJohnson大統領伝記シリーズは未完で、今最終巻第5巻を82歳のCaro爺さんが鋭意執筆中だからだ。筆者が今年読んだ"Path to Power"は、第1巻である。The Power Brokerよりは短いが、それでも750ページ近くあった。今読み始めている2巻が400ページ、3巻が1000ページ、4巻が600ページ強あるので、シリーズ読了はおろか、キャッチアップできるのもまだ先だろう。1年後どれほど読めているか楽しみである。