2013-12-30

2013年に読んだ本

参考:2012年に読んだ本

今年は去年より仕事が忙しくなって、文章を読む時間そのものは減った気がするが、飛行機に乗る機会が増えたこともあり、去年よりも5冊多い33冊を読了した。

以下、備忘録的に、手短かに書評を。

  1. "To Sell Is Human" by Daniel Pink: 「お金はやる気につながらない」で有名なDaniel Pinkがセールスについて書いた本。共感することが大事って本だった。
  2. "Inspired" by Marty Cagan: なんかプロマネの要諦が書いてあるって薦められて読んだんだが、何も内容を覚えていない。
  3. "Don't Make Me Think" by Steve Krug: 上杉周作に薦められて読んだウェブのUXに関する本。最近またウェブサイトを作る仕事があるので、再読するべきかもしれぬ。
  4. "Gunfight" by Adam Winkler: 銃規制に関するアメリカ法曹界随一の専門家Adam Winklerが、アメリカ社会に於ける銃の立ち位置を、歴史的観点から考察した本。結構長い本だが、「全面的に銃を禁止しないアメリカってマジキチ」と感じる日本人には是非読んでもらいたい。ちなみにWinkler教授の親父さんはハリウッドの著名プロデューサーで、教授本人も子役としてスコセッシの"New York, New York"に出てたりする。
  5. "Designing with Web Standards" by Jeffrey Zeldman & Ethan Marcotte: まあ色々とウェブスタンダードについて書いてあって参考にはなったが、ぼくは専門家じゃない&やっつけ仕事が多いので、スタンダードを守れてないこともよくあったり。
  6. "The Blue Bottle Craft of Coffee: Growing, Roasting, and Drinking, with Recipes" by James Freeman, Caitlin Freeman & Tara Duggan: いろいろ美味しそうな本だった。参考エントリはこちら。
  7. "The Success of Open Source"(和訳) by Steve Weber: オープンソースについて、バークレーの政治学者が考察した本。オープンソースに関して概要を知りたいと思う人は是非。こういう本がもっと流行って、みんな読んで、オープンソースに対する理解が深まれば、一昔前の、梅田望夫/海部美知/ひがやすを論争みたいのも無くなるのかなと。
  8. "Twilight of the Elites" by Christopher Hayes: あくまで私利私欲に走るアメリカ社会のエリート達に、同じくエリートである著者が警鐘を鳴らした本。「そもそも『エリート』って何」という話も含め、いろいろと考えさせられる。財力に恵まれた人たちの社会的責任というのはよく語られるけど、能力や知力に恵まれた人達の社会的責任ってのは、あまり議論されていない気がする。
  9. "Content Strategy for the Web" by Kristina Rach & Melissa Halvorson: まったく内容を覚えていない。
  10. "Eats, Shoots & Leaves" by Lynne Truss: 英語の文法についてユーモアたっぷりに書いたベストセラー。コンマの付け方ひとつで意味が大きく変わるみたいな話が沢山載っている。英文法マニアは是非。
  11. "The Experience Economy"(和訳) by Joseph Pine & James H. Gilmore: あんまり内容を覚えていない。「モノ」ではなくて「体験」を売れみたいなことが書いてあって、OKWaveのデート指南に似てるなと思った記憶が朧げにある。
  12. "別れる力" by 伊集院静: なんか男はこうあるべきだ的な話が沢山書いてあって、世代差を感じさせられた。
  13. "Betrayed by Rita Hayworth (リタヘイワースの背信)" by Manuel Puig: 知る人ぞ知るラテン文学の奇才だそう。DFWのインタビューで存在を知った。構成が独特。
  14. "The Liars Club" by Mary Karr: DFWの元カノで詩人・大学教授のKarrの自伝。かなり壮絶で、家族とは何か考えさせられる。詩人らしく言葉のチョイスが絶妙。
  15. "田村はまだか" by 朝倉かすみ: 暇つぶしに買って読んだんだが、意外とよかった。初朝倉かすみ。
  16. "When You Were a Tadpole and I Was a Fish" by Martin Gardner: パズルおじさんことGardnerの短編集。これを読んだのは確か4月だったので、今年は後半ほとんど本を読んでないことになる。
  17. "桐島、部活やめるってよ" by 朝井リョウ: 朝井、面白かったってよ。
  18. "Never Eat Alone: And Other Secrets to Success, One Relationship at a Time" by Keith Ferrazzi with Tahl Raz (和訳:"一生モノの人脈力"): TwillioかどこかのBizDevの人が推してた本。あまり内容を覚えていない。
  19. "すべてがFになる" by 森博嗣: @tksohishiオススメの小説。面白かった。
  20. "何者" by 朝井リョウ: 朝井リョウの直木賞受賞作。作家には、時代を超えたテーマを描くタイプと、その時代を絶妙に捉えるタイプがいるが、朝井リョウは完全に後者だろう。小野美由紀さんが、秀逸なレビューを書いている。
  21. "Crossing the Chasm" by Geoffrey Moore: そうか、これ読んだの実は今年か。製品マーケティングの基礎的な教科書。
  22. "Cypherpunks" by Julian Assange, Jacob Appelbaum, and Andy Muller-Maguhn: Wikileaksの関係者たちの座談会の議事録みたいな本。頭が良すぎて世の中の問題がいろいろと見えてしまう人たちは大変だなあという感想。
  23. "不格好経営" by 南場智子: 南場さんが、DeNA立ち上げから今に到るまでを笑いあり、涙ありで綴った本。自分もベンチャーで働いているので、頷くところが多かった。
  24. "狭小邸宅" by 新庄耕: 著者のすばる文学賞受賞作。実は友達で、再会を祝って一杯飲んだ時に、サイン入り本をくれた。とても面白かったし、何より友達が作家になっていたというのが衝撃だった。
  25. "統計学が最強の学問である" by 西内啓: タイトルの釣り度合いが半端なく、同じ釣り師としては見習いたいところである。内容に関しては、ごく当たり前のことがごく当たり前に書いてあったのだが、筆者も2013年になってから統計学を勉強したので、意外と勉強になった。ただ、ビッグデータの要素技術に関する記述は間違いがチラホラあった。
  26. "深い河" by 遠藤周作: 知り合いが毎年読むという本。意外にも今まで一度も読んだことがなかった。遠藤周作らしいヒューマニズム。
  27. "統計学" by 松原望: 半端無く誤植が多かったが、概ねよかった。ただ初学者というか、書いてある内容を逐一疑えない人にはオススメしない。
  28. "100円のコーラを1000円で売る方法" by 永井孝尚: 製品マーケティングとは何たるかを、お話仕立てに説明した本。ネットではボロクソに書かれているが、製品マーケティングの基礎を学ぶにはいい本だと思う。2−3年前に読んでおきたかった。
  29. "Infinite Jest" by David Foster Wallace: 「これは水です」の卒業スピーチで知られるDFWの代表作。これは長いです。どれくらい長いかというと、ちっさいフォントのハードカバーで1100ページ弱。おそらく日本語の文庫本にしたら4000ページを超えるんじゃなかろうか。去年読み出して今年の11月にやっと読了した。感想を書き出すと長くなるのだが、ぶっちゃけ一回通読しただけではわかってない部分もあるので、もっかい読んでから感想を書こうかと考えている(つまり感想を書く気がない)。
  30. "A Heartbreaking Work of Staggering Genius"(和訳) by Dave Eggers: 若干20歳で両親をほぼ同時に癌でなくし、8歳の弟の後見人をするハメになったEggersの自叙伝的小説。これを読んで一気にEggersのファンになった。今もスーツケースに2−3冊Eggersの小説が入っている。
  31. "What is the What" by Dave Eggers: 同じくEggers。南スーダンの民族戦争を生き延びたValentino Achak Dengの半生を、本人の協力のもと小説として書き下ろした。涙あり、笑いありで、東京行きの機内で読みながら泣いてしまった。日本のNGO、わかちあいプロジェクトと、そこの職員であった高村さんの話も出てくる。
  32. "「社会を変える」を仕事にする" by 駒崎弘樹: 友人の送別会でもらった本。ビジネス戦略としての非営利団体、日本の保育システムの持つ問題みたいな視点から興味深かった。
  33. "現代マーケティング・リサーチ" by 照井伸彦・佐藤忠彦: 統計学の手法がどうマーケティング・リサーチに使えるかという本。POSデータやアンケート結果の使い方を具体的に説明している。最近だと猫も杓子もビッグデータだが、「じゃあ集めたデータをどう使うの?」という問題がつきまとう。でもそれはデータ分析の適用分野に依るので、この手の「データ分析の使い方」本がもっと出てくることが望ましい。

来年はもっと読んだ本の内容を覚えていたい。やはり定期的に書評を書くべきか...

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