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データサイエンティストを数百人単位で発掘する

どうやらデータサイエンティストなる職業がアツいらしい。

データサイエンティストって何それ美味しいのというのが正直なところだが、「データサイエンスとは何か」について、錚々たる企業の人たちの講演されてらっしゃったので、ちょっと引用してみたい。

まずは花王の大路延憲氏(情報システム部門統括付部長):

...データサイエンティストの心得として3つのMを挙げた。その上で「まず目的(Mindset)と評価尺度(Measurement)を明確にし、それから手法(Method)を決める。決して手法から始めてはいけない」とアドバイスした。

つまり頭でっかちにならず、目的に即した手法が取れる判断力が必要だという話。

次に大阪ガスの河本薫氏(情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長):

「(ビジネス課題を)見つける力、(分析問題を)解く力、(得られた知識を)使わせる力、の全てを備えた“フォワード型分析者”が、ビジネスに価値をもたらすことができる」

つまり産業特有の勘・知識と、それを活かした分析ができる必要があるという話。

最後に楽天の森正弥氏(執行役員・楽天技術研究所長):

「今後は、多様なサービスをいかに低コストで提供できるかが、データサイエンティストの役割になるのではないか」と指摘した。

つまりビジネスオペレーションの改善に貢献するのが、データサイエンスの役割という話。

ちなみにこの引用記事には、楽天には400人のデータサイエンティストがいると書かれており、方々からツッコまれていたのだが、その後「400人近くの社員がおり、その中に数10人のデータサイエンティストを抱える」と訂正されている。

一見、「400人もデータサイエンティストなんてwww」と思うかもしれないが、もしプロの方々が言うように、データサイエンティストの定義が、

  1. 頭でっかちにならず、目的に即した手法をとり、
  2. 産業特有の勘・知識を活かした分析を通じて、
  3. ビジネスオペレーションの改善に貢献する仕事

ならば、新たに人材発掘やトレーニングをしなくても、既に日本(特に東京)には数百人単位でデータサイエンティストがいる。

戦略コンサルタントである。

戦略コンサルというと、イガ・ちきりん・ヤスヨさんや、大前研一おじさんなどが有名だが、十数人単位でいる知り合いの戦略コンサルの話を聞いている限り、まさに彼らの業務は、今さっき挙げた1−3である。そりゃ彼らの分析ツールはExcelだし、気持ち悪いゾウさんのソフトウェアHadoopうんちゃらとかは使えないかもしれないが、ビジネスの問題を明確化し、顧客の産業を徹底的に研究してエキスパートになり、仮説を立て、それを実証・反証するためのデータを収集・分析しているという点に於いては、立派なデータサイエンティストたちである(ちきりんなんかもデータを使っていろいろ説明するの好きだよね)。

ぼく自身データサイエンティストではないが、今の会社ではいろいろデータ分析をやっており、ちょくちょくデータ分析屋さんたちのブログを覗いている。その中でも一番参考になっているのは、37Signalsのdata analystであるNoah Lorang(元McKinsey)のブログ記事と、MailChimpのdata scientistであるJohn Foreman(元Booz Allen Hamilton)のブログだ。というのも、彼らのブログは共に、

からだ。

個人的には、「説明がわかりやすい」というのは、先の1-3の条件と同等に重要なんじゃないかと感じている。だってデータ分析や統計学なんて、大多数のお偉いさんからしたらワケ分からんものであり、それをいかに説得力を持たせて伝えられて初めて、データ駆動の意思決定にもっていけるわけだ。どんなに洗練された分析手法も、唯一無二の知見も、意思決定につながらなければゴミである。

そういった意味では、戦略コンサルほど、「データの分析結果を元に、お偉いさんの意思決定に変化をもたらす」ことを得意にしている職種はないだろう。エンジニアや統計学者から見たら、コンサル連中が作るのは、お粗末なポンコツExcelモデルかもしれない。だが、それでも彼らがいい仕事をしていれば、きちんとしてデータに基づいて考えだされた、ビジネスの向上を念頭に置いて作られたモデルであり、だからこそお客さんに響くのだ...と外から見ていて思う。

ということで、使えるデータサイエンティストが欲しければ、戦略コンサルの方々を引き抜くってのは、悪いアイデアではない気がする。彼らのキャリアパスも、最近は以前ほど美味しそうではないので、はやり言葉に釣られてデータサイエンスに結構流れるんじゃないのかなと斜め横から眺めている。

2013-07-31