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TVチャンピオンが教えてくれたスタートアップにとって大切なこと

よくスタートアップ(ベンチャー企業)にとって大事なのは、execution(計画を実行しきること)であってアイデアではないと言われる。要はどんなアイデアも実行に移さなくては意味がなくて、逆に言えば実行しきる力があれば、何も希代の名案でなくても十分成功できるという話だ。

この話そのものは何度も言われていることで、お偉い方たちも触れている。

ただぶっちゃけてしまうと、「そんな当たり前のこと、小学生の時に見たTVチャンピオンに教えてもらったもんね」というのが本音である。

一風変わった求道者たちを集めて競わせるTVチャンピオンは結構好きで、小学校の時によく見ていた。ある時、ラーメン通の日本一を決めるという回があり、メンマだけを食べてどこのラーメン屋か当てたり、目隠しをした状態で椅子に座った感触と店長の声だけでどの店か回答していて、子供ながらに「こいつらすげー」と感心したものだ。

その数あるチャレンジの中で特に印象に残っているのが、「出されたラーメンを食べて、どこの店か回答する」というものだ。この設定そのものはかなりベタで、百戦錬磨のラーメン通にとっては楽勝である。ただもう一つ条件があり、出されたラーメンをスープも含めて完食しなければ、回答権は与えられないのだ。

そこで出てきたのが、いかにも激辛なラーメンである。器の中には静脈血を彷彿させる黒ずんだ真っ赤なスープがなみなみと入っている。どうやらこのラーメンは相当有名らしく、出てきた時点でみんな店の名前はすぐにわかったことが、表情から伺える。

しかし忘れてはいけない。この激辛ラーメンを完食しなければ、店の名前がわかっていても回答できないのだ。

司会者の「はじめ!」の合図で参加者たちが一斉に激辛ラーメンに顔を突っ込んだ。もうそりゃ修羅場である。みんな汗だくになって咳き込みながら、激辛ラーメンをすすり続ける。ぼくも固唾をのんでブラウン管越しに見守る。

数分経ったところで、その中の1人が早押しボタンに手をかけた。器を見ると、確かにきれいさっぱり完食している。テンションマックスの司会者がマイクを渡すと、その人は咳き込みながら言った。

じ、じ、地獄ラーメンひょっとこ!!!

せ、せ、正解である。結局その人は次のステージで消えてしまったのだが、小学生の筆者は、この参加者のガッツに感服したのを覚えている。どのラーメンかわかっていたって食わなきゃいけない。答えがわかっていたって、そこに到るプロセスを飛ばすことはできない。アイデアだけでは意味がなく、executionして初めて結果につながるのだ。

なんでこんな話を書いたかというと、この前ベトナム料理屋でフォーに激辛ソースを入れて食べていたら、先のTVチャンピオンのシーンを思い出したからだ。スタートアップうんぬんのくだりは半ばこじつけである。

ちなみに地獄ラーメンひょっとこは既に閉店しているらしい。

2013-03-30