—ねえオジサン、写真撮っていい？
—あん？
—撮影料払うから
—当たり前だ
—じゃあ1ドルで
—ダメだ、2ドルだ
—じゃあ2ドルで2枚
—いや、そしたら3ドルだな。てかそこにあるのは20ドル札じゃないか
—そんなにはあげないよ
—だよな…
—1枚でいいから、はいチーズ

—オジサン元々何やってたの
—歌手だよ歌手
—嘘だ―
—ほんとだよ、ハーレムではみんな俺のこと知ってた
—もう歌わないの
—今も歌うさ。歌うのは自由だ
—そうだね。暑いけど元気でね
—おい小僧
—ん？
—もう1ドルだけくれ。3ドルあると昼飯が食える

まったく商売の上手いホームレスのオッサンである。