2012-10-19

Amazon創業者Jeff Bezosのアドバイス

昨日、Jeff Bezosさん1が我々のオフィスに来て、90分ほどプロダクトと戦略の話をした。その後、オフィスにいたみんなと245分ほどの質疑応答をして帰っていった。

質問に対する答えの中で、Bezosさんは、「正しいことが多い」人たちに関する興味深い考察をしていた。

彼いわく、正しいことが多い人たちは、よく自分の意見を変える人たちだそうだ。思考の整合性は必ずしもよいものではないというのが、彼の意見だ。昨日と今日で考え方が違うことは、ごく当たり前のことであり、あるべき姿ですらあるという。

賢い人たちは、自分の考え方や、解決済みとされている問題を常に再考しているというのが、彼の主張だ。そういった賢い人たちは、新しい意見を進んで受け入れ、新しい情報やアイデア、矛盾や批判を、自分の考え方の一部に取り込もうとする。

はっきりとした視点を持つなという話ではない。どんな視点も一時的なものだというだけだ。

「間違っていることが多い」のはどんな人たちだろうか。一つだけの視点を裏付ける微細に執着する人たちだ。微細に終始する井蛙は、多角的に大局を捉えることができず、結果的に間違っていることが多くなる。

良いアドバイスである。



  1. Jeff Bezosは、Jason Friedが創立・経営している37Signalsの、唯一の外部投資家だ

  2. 社員紹介を見てくれればすぐわかるが、37Signalsの社員は、世界中に散らばっている。Fried自身、「職場では仕事がはかどらない」という面白い哲学の持ち主で、ローカルの社員も含め、出社は義務づけられていない。Friedが、「社員」ではなく、「オフィスにいたみんな」と書いたのは、リモートで働いている社員も含め、出社していない人に疎外感を与えたり、間違ったメッセージを送ることを避けるためだろう。注意深く言葉を選ぶFriedらしい表現である。

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