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池田信夫さんも...(´・ω・`)

先日ぼくが書いた茂木健一郎さんへの苦言をリツイートしてもらっていてなんだが、ペーパーテスト偏重反対の茂木さんに対する池田信夫さんの意見も、ギョッとする部分があったので、書くことにする。

ぼくは木をみて森をみないそうだが、飼い主の手も噛むようだ。

まず、これどうなのって話としては以下の部分。

彼の賞賛するアメリカでさえ、政府高官や金持ちの子は、ブッシュ・ジュニアのようにろくに字が読めなくても、金を積んでハーバードに入れる。それでも向こうでは入学後の競争が激しいから「なんちゃってハーバード」は振り落とされるが、日本ではスポーツ選手でも早稲田を卒業できてしまう。

お、おう。ブッシュ・ジュニア、ハーバード卒業したけどな。

確かに、アメリカの大学はそれ相応に競争も勉強もする。アメリカのエリート大学生は、東大生みたいに達観していないので、シケタイなんていう素晴らしいシステムは存在しない。皆さん愚直に宿題をやり、試験勉強をし、良い成績を取ろうとする。こんなふざけた体のぼくも、大学時代はそれなりに勉強した。

ただ、入学後の競争が激しいから「なんちゃってハーバード」は振り落とされるというのはマユツバである。ハーバードの学部卒業率は97%で、アメリカ国内でも非常に高いそうだ。本当に「なんちゃってハーバード」が振り落とされるなら、「なんちゃってハーバード」は約3%ということになり、その位入学させてあげてもいい誤差だと思えてしまう。ちなみに、この平成21年度の資料(表3.2.2)によれば、日本の国立大学の、標準修了年限の卒業率は81%で、標準終了年限+2年以内だと98.6%となる。4年生の留年率が15%と高いことから察するに、新卒至上主義に起因する意図的な就職留年が多いのだろう。いずれにせよ、ハーバードも日本の国立大学も、学生が振り落とされるような高速列車ではなく、走って飛び乗れる路面電車[1]のようだ。

さっきからハーバード、ハーバード繰り返して書いているが、それはSEOのためである。ぼくはハーバード[2]の卒業生ではないし(受けたけど落ちた)、当然日本の大学も出ていないので、お前知ったかぶりをするなと言われてしまえばそこまでだが、アメリカの大学が「入るのはカンタン、出るのは難しい」というのは、かなりのところ嘘である。入るのは簡単ではないが、余程やる気がないとか、ピンチの時に宿題を手伝ってくれる友達がいないとかじゃない限り、卒業はできる。

もう一つ気になったのは、「底辺大学」にまつわるこのくだりだ。

もはや国立大学の学部以外の学歴は信用できないので、企業の採用はますます国立大学に集中し、底辺大学は「就学生」と称する不法就労の温床だ。山口福祉文化大学は、東京の「サテライト教室」に600人もの中国人を入れていた。

お、おう。「山口福祉文化学の東京サテライト教室にいた中国人」と書いて「『就学生』と称する不法就労者」と読むってこと?

引用した最初の文が言わんとしているのは、底辺大学は不法就労の温床だったりするので、国立大学以外の学歴が信用されず、企業は採用対象を国立に絞っているということだ。この主張の真偽はひとまずおいておいて、[3]問題は次の一文との関係だ。これをそのまま読むと、あたかも「山口福祉文化大学が、東京のサテライト教室に600人もの中国人を入れている」ことが、「底辺大学の不法就労の温床」化を裏付けている根拠の一つのように解釈できる。というか、そう解釈するのが自然である。

ニュースを読む限り、山口福祉文化大学が、不法就労者を入学させていたことも、その多くが中国籍の人だったことも事実のようだ。ただ、中には不法就労者ではない中国籍の生徒もいるだろう。「東京の『サテライト教室』に600人もの不法就労者を入れていた」では駄目なのだろうか。日本にいる中国人には合法に就労している人もたくさんいる。多分彼らがこのくだりを読んだら、「不法就労者は中国人だけではない!」と気分を害するだろう。池田さんが、不特定多数の中国人を挑発したいならば別だが。

最近、日本の知識人たちが、こぞってグローバる化の話をし、そのためには英語が必要だの、海外に出るべきだの、東大を9月入学にするべきだの論議をしている。ただ、個人的には、グローバル化に向けて日本人が何よりも学ばなくてはいけないのは、自分たちの身のまわりの問題を、多角的な視点と、高いエンパシーを持って見つめ直すことだと思っている。

このエントリー、普段より内部リンクが多いことにお気づきだろうか。これもSEOのためである。外部リンクの方がはるかに効果的らしいが、ないよりはマシということで、ペタペタ貼ってみたでござる。


  1. 広電といったら広島。広島といったらPerfume!
  2. 何回書くねん。
  3. まあそもそも、学歴で判断するのが正しいのかという話である。

2012-10-12